『割れた唇』

18歳で成人を迎える高校三年生のあたしは、受験勉強を勤しむ石田との会話に揺れる。恋と将来、責任の重さを前に戸惑う心を描いた青春短編。

『私達は今でも』

サークルの飲み会の終わりに、もうすぐ卒業する長原さんの自宅に泊まってしまった私。長原さんと接する私は、彼女に昔感じたある感覚を覚える。大学生同士のGL短編

『例外の定食』

二日連続で同じメニューを作らない主義の唯が、ある日同じ料理の夕食に作った。俺はそのことに違和感を覚えるが全然解決の糸口は見えず……。交際している男女の関係を描く恋愛短編

『描かれる夜』

イベント会社で働く佐々木は、クリスマスイブでも仕事だった。とある喫茶店の二階で開催される催し物を手伝う。日常に非日常を届ける社会人達を描く、お仕事短編

『二十一グラムの行き先』

白波坂の洋館と呼ばれる、いくつもの坂の先にある家に住む祖母から遺産とした譲り受けた佐紀。ある日、めぐみという女性が引っ越しの挨拶に訪れる。同性を好きになることの関係を描いた純文学短編

『寂しさを紛らわすために』

職場の同僚である斉藤春華に旅行に誘われた私は、旅先の温泉旅館で贅沢な時間を過ごす。人を知る装置として使える旅行で、私と春華は互いのことを知る。人との距離感を描く短編。

『知りたい?』

確定申告を手伝ってもらう柳田京子は、宮内あきのプレゼントに悩んでいた。あきのことを詳しく知ろうとするうちで、京子は彼女のオフが気になるようになり……。仕事と休みのバランスを描く短編

『不思議な夢のような夜』

大学生の俺は、友達である持田茜がストーカー被害にあっているかもしれないと相談を受け、同棲が始まる。男女の恋愛を描く短編

『アンダンテの速さ』

フリーのピアノ調律師として働く安井の元に、ピアノの音を悪くしてほしい、と解釈できるような依頼が送られる。安井は違和感を覚えながらも、その依頼を受けることにして……。ピアノを巡る社会人女性達の中編。2023年文學界新人賞に送った作品。一次選考落ち

『便り』

私の元に届く私宛ではない郵便物。美容院の案内、誰かかの手紙、荷物……。宛名は全て、田中明美という人だった。前の住人なのだろうと思う私だったが、次第に彼女のことが気になるようになる。個人と家の関係を描く短編