一年続けるということの話

前に「二週間で約一万字の短編小説を一本書き続けた話」という記事を書きました。

それからしばらく月日が流れており、一年続けられていることに気づきました。

いつの間に一年も続いていたのか、ということに驚いてます。

目的は常に、「上手い小説を書く」なのですが、目標は色々と変わってきているなぁ、と思ってますので、振り返ってみたいと思います。

 

目標は、

肩の力を抜く

二週間に一回の頻度で短編を書いていることに気づく

振り返りをするために、書く

とりあえず、一日一行でも良いので書く

という感じに移り変わってます。

それぞれの時期を振り返って、この頻度で書いた所感を最後にまとめてとして書いておきます。

 

・肩の力を抜く

 

これまでの公募原稿は肩の力が入り過ぎており、実力が発揮できていないのではないかと思っておりました。

そこで、「エチュードを弾くために」から、もっと気楽に書こう、という意識して、何作か短編を書き始めました。「社会人百合短編集」の後書きで触れてますので、該当箇所を引用します。

 

まずここに収録しました短編は、全てある目的の元で書きました。普段は新人賞に向けて小説を書いているのですが、どうも肩肘の張った小説になることがあり、肩肘を張ってない気軽に読み書きできる小説を書いて、普段どういう小説を書いているのか感覚を取り戻そうという動機で書かれたのが「エチュードを弾くために」であり、「残り430‌ml」でした。毛色の違う二作品でしたがいずれも社会人を主役にした女性同士の関係を描いた作品ということもありましたので、後一つ二つ書けば、肩肘の張らない社会人百合を集めた作品集になるのではないか、と考えて書かれたのが残りの二作品となっております。

 

・二週間に一回の頻度で短編を書いていることに気づく

 

それから、周期的に二週間に一度、一万字程度の短編小説を書いているなぁ……ということに気づき、意識的に「書き上げる」ようにしてます。

文學界新人賞に向けて書いている間にも、書くようにしてました。自分が好んでどういう物語を書き、登場人物を動かし、描写するのか、どういう会話をさせるのか。

そういう自分自身の癖を知るためにも書いてました。癖を知り、それが物語や小説に良い方向に作用しているのか、作者の独りよがりになっていないか考えてます。

この時期は、二週間というのを意識するようになってからは、期日以内に書き上げようという意識が強くありました。絶対に二週間で書き上げるという意識があったわけではありませんが、二週間目が近づくと、書き上げられてないしちょっと意識して書き上げようと書くことがありました。

 

・振り返りをするために、書く

 

文學界新人賞に送る原稿を書き上げ、送り、今後をどうしようかと考えている時期がこの頃でした。

肩の力を抜いて書くから、公募原稿のようなクオリティの高い作品を書くにはどうしたらいいのかと考えていた時期でもあります。

書き続けてましたが、「スイーツを食べるタイミング」で転機を迎えました。

書き続けるだけでは良くないということに気付かされた一作でありますし、書き続けたことによる作者の甘え、悪癖が最も出た一作です。

一言でまとめると、拙い作品です。登場人物の動かし方が無茶苦茶下手です。主人公が主人公してないです。これなら、小畠くんを主人公にしないと面白くないんじゃない? と考えられることでしょう。

公募原稿の改稿を続けていた時期でもありましたし、より良く改稿するにはどうしたらいいのか、ということに自分なりの答えを得た時期でもありました。

すなわち、違和感を覚え、言語化し、書き直す時にはどうするかを考え、次作に活かす。

二週間に一度という頻度で書くことはしてましたし、違和感を覚えることは何度かありました。その言語化にも努めておりました。

ですが、書き直したり、次に活かしたりということはできてませんでした。言語化には努めておりましたが、記録には残していませんでしたので、次に活かすのが非常に難しくなってました。

対策として、notionのボードビューによる管理を行ってます。

こんな感じです。2024年というタイトルにしているのは、2024年から始める予定だったからです。実際は2023年から動いてます……。

notion 2024年の年間執筆表

 

振り返り、次に活かすことだけではなく、ネタ帳としての役割もあります。

頭の中だけで複数のネタを管理するのは無理がありました。

手帳などの紙媒体でも良かったのですが、振り返るのに該当箇所を探すのが面倒になる。書き上げた作品をリンクで飛ばしたり、引用が面倒。新しい手帳に切り替えた時の移し替えをどうするか、外出先で使うのが取り回しが難しい。

という理由から、デジタル管理を行ってます。Web、iPhone、Macと全ての環境下で閲覧編集が可能ですので。

執筆中、ネタ、プロット、完成、振り返りという四つの時間軸があります。

 

それぞれ、

コンセプト

テーマ

プロット

振り返り

というものを書いています。

コンセプトとテーマは同じにして、別のプロットで書くということも書いてあれば、あの時の振り返りはこうだったし次はこんなことに気をつけるなどが書いてあります。

 

直近に書き上げた「白地に白」はこんな感じのコンセプトとテーマにして、振り返りはこんな感じにしました。

notion 2024年の年間執筆表の中身 その1

 

notion 2024年の年間執筆表の中身 その2

 

こういうことを全ての作品でやっていく年にしています。

後述するネタ切れ防止のためでもあります。

 

・とりあえず、一日一行でも良いので書く

 

毎日書くを復活させた話」でも書いてますが、これが最近の目標です。

二週間に一度短編を書く必要ってないんじゃないの? と思い始めた時期が到来しました。飽き、気が緩んだ機会の到来です。

書かない日もありましたので、こういう目標を立てました。続けることに慣れる、ということも兼ねてます。

上手いネタなどを思いついた場合は、勢いそのままに書けますしモチベーションも高いのですが、全てがそういうわけではありません。

書き上げてみて、あれ思ったより良いわ、と思うこともあります。

書き上げるまで作品のクオリティは分かりません。作品を書き上げるためには書かないといけませんし、そのためには時間が必要です。

ですので、とりあえず一日一行でも書くということを続けています。

この目標の良いところは、一行でも書いたら、続きを書こうという気になれるところです。とりあえず書き進めようという気にさせてくれます。

 

・続けてきたどうだったか ネタ切れと時間の確保が課題

 

二週間に一度新しい小説を書くということは、毎回新しいアイデアを思いつかないといけないわけです。ここが非常に難儀です。正直、無茶苦茶苦しいです。

ネタ切れ対策として、上記に書いた通り、notionでネタも管理しています。

下手な小説は可能な限り書きたくないのですが、書き上げるまでは下手かどうかは分かりません。書いている途中でこれは下手だなぁ、と思う作品は何作かあったのですが、その都度とりあえず書き上げてしまおうと思って書き上げました。

書き上げない選択はいつでも採れます。ですが、書き上げなかった作品ばかり残しても意味がありません。どこかのタイミングで、作品を書き上げる必要がないと思うようになり、未完の作品が多くできます。

書き上げて、振り返って、次に活かす。PDCAサイクルにある、CとAの部分も意識して行なっていくというわけです。

このサイクルは守っています。

この取り組みの間に、一作だけ未完の作品があります。公募原稿に出した登場人物達で何か別の物語を書いてみようと思いました。実際に書いてみたのですが、公募原稿のクオリティを超えられないので未完にしました。

コンセプトと主題は書き残してありますので、どこかのタイミングで書き上げます。

 

この取り組みを通して、上手くなったのか気になった方はおられると思います。

分からないというのが正直な回答です。

そんなことを考える余裕も暇もありませんでした。

おそらくは上手くなっているとは思うのですが、それを決めるのは作品を読まれた読者の皆様だと考えております。

上手いという定義から始める必要がありますしね。こういう問題は。キャラクターの描き方が上手いもあれば、表現力が上手いなどもありますので。

総合的に捉えての上手さについては、本当に分かりません。

下手だな、と感じる部分はあります。作品を書き上げた時に思います。しっかり振り返りの項目で書いています。

ですがそれは、作品のコンセプトもプロットも主題も知っている作者だからこそ思うことなのかもしれません。

一つでも下手だな、と思う部分をクリアして、次の作品でより良いものを読者の皆様にお届けする。

今後もこの取り組みは続けますし、もう動いてますので今後もよろしくお願い申し上げます。

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