「素」を曝け出さないようにしている話

うちひさす 都のあした 明けゆけば
走らぬ午に 牛の歩みを

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

オフシーズンに突入している話」の冒頭で

小説を書く以外で素を明らかにするのを避けようと考えておりますが、それはまた別の、随筆でちゃんと書こうと思います。

と書いておりました。

今回はそのことについて書きます。

2022年の振り返り」や「2023年の振り返り」をしたり、「2024年の目標」を立てて、記事として公開していたのですが、2025年からそのようなことを行なってません。これは何も一年の振り返りをしていなかったりするわけではありませんし、新年に目標を立てたりしていないわけではありません。

出藍文庫という自分のHPで、素の部分や「私」の部分を、小説を読まれることを主目的とされている読者に見せるのはやめようと判断しているだけです。

今の時代、素や「私」の部分を公開した方が良いことがあるのは分かります。書店に足を運ぶと、色々な随筆集やエッセイ集が目につきます。

随筆やエッセイが好んで読まれることが多いのは、主に若い方々が詠まれる現代の短歌が、読者と近しい距離感で詠まれることで、共感を呼んだことと同じようものなのかな、と個人的に考えています。

自分と遠いところにいるあの人が、自分とそんなに変わらない人間であることを知れる、気づける共感や安心というのがあるのではないでしょうか。

ですがそれは同時に、そういう人だと思っていなかったという微かな失望を生み出す契機にもなのではないか、と僕は思います。

僕が読者の方に楽しんでいただきたいのは小説であり、僕の作り出す作品です。作者である僕のことではありません。

であれば、一本の線を引いた方が、僕にとっても読者にとっても、丁度良い距離感になるのではないでしょうか。


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