描写をどこに入れるかという話

※今回の記事は、作品そのものではなく、どのように書き直したかという制作過程を扱っています。

そのため、noteにて有料記事として公開しています。

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【誰向けの記事なのか】

本論に移る前に、どういう方に向けた記事なのか明らかにしておきます。

本記事は、会話文を中心で書いてしまい、どこにどのような描写を入れればよいか分からない方向けの記事です。

「描写が大事」とは見聞きしたことはあるけれど、何を、どこに、どの程度入れればいいのか分からない。

あるいは、会話で進行させてばかりでこれらの会話が読者の方にどのように伝わっているのだろうか? 伝わっていない場合は、どう直せばいいのか分からない。

そういう方に向けて、抽象論ではなく、実際の初稿・赤入れ・確定稿を元に、修正の過程を見ていきます。

短編『半分』は、銭湯を出た二人が、夜の雨の中を一本の傘で帰る場面を書いた作品です。

この場面の初稿では、会話しか書いておりません。

と言いますのも、この短編について構想を練ったりしている頃、描写ってどこにどんなふうに挿入すれば良いのだろうか? 普段書いている方向や方法とは別のものを書いて、考えたい。

となれば、一旦、会話だけで物語を進めれば、描写を挿入させないと分からない部分が見えてくるのではないだろうかと考えたためです。

そうして会話だけで書くことになったのですが、書きながら意識していたのは、会話のテンポです。

会話のテンポは、「一人が話している時間の短さ」で決まるのではないか。

キャッチボールのように、短くやり取りを重ねることで、場面を進めようとしていました。

実際、初稿の冒頭はこうなっています。

「さむ……え、あ、降ってる?」
「降っている」
「え、どうして居るの?」
「先に帰るのは変じゃない?」
「え?」
「え?」

おそらく、この会話のテンポはかなり速いと思われます。速さはあるのですが、どこにいるのか、どんな空間なのか、何に驚いているのかが弱い。

確定稿では、同じ場面をこう書きました。

柊由紀は女湯の暖簾をくぐり、軒下へと出た。屋根には雨が集まっていた。黒いパンプスの踵がコンクリートを叩いた。風が吹いた。頬や髪の毛を包んでいた湯気が、瞬く間に辺りへと吹き飛ばされた。白い息が上がる。

「……え、あ、降っている?」

由紀はバックパックを下ろし、腕にかけていた黒いダウンジャケットに袖を通し、赤いマフラーや手袋を手早く身につける。

「降っている」

台詞の内容は同じですが、その前後に描写を加えています。

この差は、「文章量が増えた」だけではなく、読者が何を読めるか、という点で大きく変わっています。

有料部分では、

・初稿では何をやろうとしていたのか

・どこに描写を入れたのか

・その描写で何を読ませたのか

・逆に、会話のまま残した部分はどこか

を、実際の赤入れをもとに見ていきます。

※今回の記事は、作品そのものではなく、どのように書き直したかという制作過程を扱っています。

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