【東方】友達の病
PDFファイル版(文庫サイズ・縦書き) 「友達の病」人里の往来は、山の紅葉が全て枯れ、梢がその細い身を鋭い風に晒される頃には穏やかになり、本格的な冬を迎える頃になると人影が疎に見える程度になった。多くの者は家で過ごすようになり、年の瀬に準備をしたり、年明けの話に花を咲かせることもあれば、普段ならば生じない暇をどうにかしようと語り合う。貸本屋である鈴奈庵は、そういう暇をどう使えばいいか分からない人間に溢れ、多くの商店にはみられない多忙な日々を送っていた。冬に備えて綿の入った衣類に衣替えをした本...