新人賞で最終選考に残っていた場合は、事前に連絡があります。あなたの作品が、最終選考に残りました、と。
この連絡がなかった時点で、自分の作品が最終選考まで残っていなかったということが分かります。
一次選考で落ちていようが、三次選考で落ちていようが、最終選考に残っていないのであれば変わりない。もっと大胆に論を進めることが許されるのでしたら、受賞できていなかったら変わらない、と考えることができるかもしれません。
僕の元に、最終選考まで残っているという連絡はありませんでした。
ですので、落ちたのだろうと割り切って、いつものように小説を書き進めておりました。
ですが、気になってしまうのです。自分の書いた小説がどうなったのだろうか、と。
そして、確認しました。
文學界四月号を近所の書店で探しに行きましたが見当たらず、Kindle版を購入しました。
文學界新人賞の中間発表のページがあります。二次選考を通過した68作品が掲載されています。筆名と作品名が並んでいます。三次選考を突破された方には◯が、最終候補には⭐︎印が、名前の上にあります。
僕の名前と作品が、ありました。
ですが、僕の名前の上には何もありませんでした。三次選考落ち、という結果でした。
自分の作品が、一次選考と二次選考を突破し、三次選考まで進んだということ。きっと少なからず、三名の読者が、僕の作品を読んだということ。
結果としては三次選考落ちというものですが、新人賞受賞には至っていません。
ただ、今までの中で最も良い結果です。ずっと一次選考落ちばかりだった僕にとって、読まれて、評されて、先に進めているということが分かったのは非常に大きな収穫です。
大きな壁を一つ、乗り越えられた気分です。清々しさと涙が込み上げてきます。
この方向性で、この表現で、良かった。この表現を磨き続ける先に、新人賞を受賞できる道が繋がっているんだ、という気持ちを味わいました。
今年もまた公募原稿を書いて、挑戦しようと思います。