即売会で頒布してない一般向け一次創作同人小説30部が通販で完売した話

前回の記事の追伸で書きましたし、タイトルの通りなんですが、そういうことが起きました。謎です。

文学フリマの後に作ったものですので、文学フリマで頒布した同人誌を気にかけていただき、次の作品もお買い求めていただいたと思うのですが、それでも、やはり、何故……? という疑問が拭い切れません。

僕は小説を書き上げた時、次の小説をより良く書くためにはどうしたらいいのか、すなわち前の小説のどこに再現性があるのか考えます。

この再現性を高めれば、自分の書く小説の良いところ・悪いところが見えてきますし、良いところをどう伸ばすか、悪いところをどう修正するか、というところが見えてきます。次、あるいはその次に書く小説が上手くなる可能性を見出せます。何となく上振れで良いのが書けたけど、次にあの時のような小説が書けないということを防げることでしょう。

ですので、今回作った同人誌についても同じように考えようと思っております。

僕の書く小説を紙媒体で読みたい方が30人近くおられた、ということだけでは、次に繋げられないのではないか、と考えている次第です。紙媒体で読みたい方がこれくらいおられるし、次の本もこんな感じで良い、と考えたくありません。

文フリで頒布した同人誌と

・表紙

・組版

・内容

という分かりやすい三点を比較したいのですが、

表紙 文字だけ

組版 インデザインを使用し、自分で行い微調整はしていない。ストレスなく読める組版を目指したのみ。

という同人誌ですので、比較したところで再現性があるのか? と疑問を懐かずにいられません。

ただ一点、明確に違うのは、収録されている作品の内容なので、そこだけ考えてたいと思います。

全文は事前にサイトで無料で公開しておりますので、読みたい方はそちらでお読みいただけると幸いです。

・「百合」と「社会人」の範囲の広さ

本同人誌は、タイトルにある通り、「社会人百合」を収録している短編集です。

おそらく、多くの方が好んで読まれるであろう、あるいは「百合」と見聞きしてイメージされる女学生達の年齢と比べると、少し歳を重ねていると思います。

ただそれでも、女性同士の関係性を描いた短編であれば、百合と呼称できるだろうと考え、分かりやすさを考慮して、どういう話が収録されているのか一目見て読者の方に伝えられるように、この言葉を採用しております。

「社会人」という立場の女性同士の関係を描こうと考えた時、学生達の関係とは違うものが求められると思います。学校という限られた場・上下関係・交流関係とは違う、非常に広い範囲での関係性を描くこともできることでしょう。時間という側面から捉えてみても、社会人になる前からの関係から続いている関係・もっと前から続いていた関係・社会に出ることによって再び生じた関係……。

関係性の描き方が非常に広く、多くなります。

ですが、社会人と百合の組み合わせで書いた時、おそらく読者の方の頭の片隅には、

・学生時代(あるいはそれより前から続いている)からの関係が、社会に出ることによってどうなったのか描かれる百合

・社会に出ることによって、それまで関わってこなかった人との関係が描かれる百合

という二つの展開・関係性がイメージされていることと思います。

本同人誌に収録されている作品は、登場人物の年齢にこそ幅はあれど、四つ全てが上記のどちらかに分類されております。

前者は「エチュードを弾くために」・「残り430ml」

後者は「木曜日の使い方」・「理由を答えよ」

「社会人百合」を読んでみたい、興味があるけどどんなものか何となくイメージできるけれど、そこから先が分からないという層にアプローチできたことによる成果なのではないか、と個人的には思います。

読者のするイメージ、想像で取っ掛かりを作り、その取っ掛かりに乗ったまま基本を外すことなく、それでも書き手の個性を感じさせる。そういう物語であれば、読まれ、紙媒体としても手に取られる。

でもそれって、WEBで全文読めるのであれば、分かることですし、紙媒体をわざわざ買うというのは、理の部分で分かりません。情の部分では、軽率に紙媒体で買っておくか〜ってなるので分かるのですが。

分からないことだらけですので、次の同人誌も作ってみて、様子を見ていきたいと思います。

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