「便り」
――田中明美様。髪の調子や状態は、結婚式以降いかがでしょうか? もしかすれば髪はダメージを負っているかもしれません。またのご来店、お待ちしております。
異動も転勤もない四月は、少しゆっくりできそうな気配を有していた。新卒の子の研修で色々と忙しくなるけれど、毎年のことなので慣れた。そういうものだと割り切った。
仕事から帰ってきてポストを開けると、美容院のダイレクトメールが置いてあった。行ったことのない美容院で、カットもカラーも担当していない美容師の名前が書かれている。どこかの美容院に勤めていた方が独立してという線を考えたのだけれど、どうやらそれも違うらしい。裏面にはそこの美容院の写真が全面に印刷されており、美容師の手書きのメッセージが少し太いペンで丁寧に書かれている。簡単な顔文字がマイナスに見えず、愛嬌を感じさせる。
私にもこういうダイレクトメールが送られる未来があったのかもしれない。けどそういう華やかしい未来は、今となってはもう可能性や別世界の話だ。私との将来や未来のことより、仕事を優先したいからといって別れた男の後ろ姿が思い浮かぶ。その背中を、追いかけられなかった過去をこれ以上思い出さないように乱暴にポストを閉める。
全く最悪なことを思い出させてくれる。田中明美め。
私も田中だけれど、明美じゃない。きっと私の前か前の前の住民が田中明美なのだろう。田中明美がここじゃないどこかに引っ越して郵送の転送手続きをした。一年の転送期間の後、私の元に送られてきた。住所変更をしたもの、引っ越したことを伝えたところの郵便物は、正しく田中明美の元へ送られていることだろう。
美容院は引っ越し先で新しく見つけただろうし、余程気に入ってなければ、引っ越しすることなど話さないだろう。きっと、美容師側も髪をカットしたりカラーしたりパーマをしてもらっている雑談の中で、薄らと感じたはずだ。この人は引っ越し先で別の美容院に通うのだろう、と。
田中明美がどういう生活を送っていたのかは分からないけれど、一人の客を失った美容師がいることは分かる。顧客全員にああいうふうに手書きのメッセージを書いていたのだろうか。その労力のことを考えると、間違いだからとゴミ箱に捨てるのは申しわけなくなる。間違いだからとゴミ箱に捨てても良いのだけれど、ちょっとそういう選択肢を選びにくくなる。田中明美が悪いのであって、この美容院に罪はない。……多分。罪はないと思う。思いたい。
家に帰って、パウダールームに向かう。もちっとした白い頬が、綺麗に磨かれた三面鏡に映る。前髪が額を隠すように眉の辺りを流れる。前髪を作るかどうするかはよく悩み、あったりなかったりする。最近は作っているけれど、なくても良いかもしれないと思う自分がいる。黒い毛先は胸の辺りまで伸びていて、いつも綺麗に外に柔らかくカールしている。肩から首筋を流れる髪と合わせて、くびれを形作っている。
学生の時に髪型を変えようとしたことは何度かあったけど、短くすると跳ねたり、うねったりする癖が私の髪にはある。癖との戦いに別角度から挑みたくなって、カラーを入れようとしたけど、親に、折角綺麗なんだしやめたら、と言われた。あの時の私は、親特有の感想だと判断していて、思春期特有の感情の波がとぶつかったこともあって、少しぎくしゃくした関係が続いた。
大学生や社会人になってからも、髪と肌は周りから褒められるので、どうやら親特有の甘い評価ではないらしいと気づいてからは、少し優しくなれた。
褒められたからといって髪を変えたくないわけではない。
一日良い気分でいたいのなら美容院に行きなさいという言葉をどこかで聞いたことがあって、私は人より結構な額を、髪にお金を費やしている自覚がある。前髪を整えたり、伸びる過程で跳ねる毛先をカットしてもらったりすることもあれば、ヘッドスパに通ったりしている。セルフカットでも良いかもしれないけど、プロに頼んだ方が綺麗に仕上がる。
ダイレクトメールに書かれた美容院の住所をスマホで調べると、家から近かった。南の方へ十分ぐらい歩けば着く。周りには、小学校やマンション、ベーカリーやカフェやスーパー、郵便局などがある。私が主に足を運ぶのは家から北側か定期券内なので、こんな近くに色々と揃っているとは思わなかった。
美容院に予約の連絡を入れると女性の高い声が電話口から聞こえる。新規であることを伝えると、ありがとうございます、とお礼を言われて、希望の日時を確認される。今週末の午前中に予約を入れた。新規の方はカウンセリングなどでお時間を頂戴する旨を伝えられて、助かったと思わざるを得ない。
一人の休日を久し振りになるので、きっとまだどういうふうに過ごせばいいのか分からないだろう。昔の生活に戻っただけというけれど、私の周りには親や友達や彼氏という自分以外の誰かと過ごしている期間の方が長くて、家に一人しかいないというのは、多分珍しい方だ。人と長い間過ごせる予定を自然に入れられて安心した。ダイレクトメールの送り先を間違えていることは、最後まで言い出す機会に恵まれなかった。
美容院はスマホで調べた通り、家の南の方にあった。スマホで調べた時と違ったのは、美容院の周りはアーケードになっていることぐらいだった。晴れ渡った空から降り注ぐ日の光を遮り、薄い影をずっと向こうまで作っている。カフェや郵便局やベーカリーはあったけど、誠に勝手乍ら暫く休業させていただきます、と書かれた張り紙をしたお店が連なっていることもあった。
美容師さんは私よりずっと歳上なのだろうなと思わせる女性の人。茶色の髪を簡単に結んだ、縦にも横にも大きな人だった。豊かな体型が目立たないような大きな黒いエプロンのポケットには何種類ものハサミがある。ブラウンの革張りのチェアが三席並んでいて、お店の奥にシャンプー台がある。小さなお店だったけれど、小さなお店だからこそ一人一人のお客さんを大事にするのだろう、と思わせるものがあった。
午前の私の予定は、ちゃんと潰れてくれた。
髪型を大きく変えたいわけではないけれど、変えたいことは変えたい。カットはしたいけれど短くすると癖が出るので、その癖が出ないぐらいの長さに留めたい。普段は毛先を巻いているので、巻いて似合うようにしたい。カラーは入れずに重たく見られないものがあれば、そうしてみたい。前髪は作らなくても良いのかもしれないと最近思っている……そういう要望を話していると、でしたらパーマはどうでしょうか? と急に提案された。髪を巻くことはあったけれど、パーマをしたことはなかった。髪が痛むイメージがあったし、パーマがかかり過ぎて、折角の綺麗なセミロングが悪く見られてしまいそうだったから。
癖の部分や毎朝のスタイリングのことを考えると、パーマをした方が楽になることは確かだろう。メリットとデメリットを天秤にかけて、どちらに傾くか思いを巡らせる。
大きな鏡の前で悩んでいると、後ろに立っている美容師さんから、でしたら今日はやめておきましょう、急な提案で申しわけありません、と眉を下げて申しわけなさそうに謝る。私が何か思うよりも早く、綺麗で艶のある髪ですので少しの痛みが目立ってしまいますので、と続けて言ってくれたお陰で、デメリットが勝った。
てっきり無茶苦茶喋るおばさんタイプの美容師さんだと思ったら、多くの話さない。私の髪や顔色や顔周りをよく見て、私の要望に応えようとしてくれる。でも動きは固くなく、リズミカルにハサミを動かして、量を減らしてくれたり、整えたりしてくれる。
どうするか悩んだ前髪は、真ん中で分けるということになった。きっちり真ん中で左右に分けてというのではなく、動きをつけて左右に流す。
普段見せない額が姿を見せて、随分とすっきりした印象になったように思う。要所要所で厚みを減らした軽やかなヘアースタイルになっていて、黒髪のセンターパートだけれど重たく見えない。この髪型は、白い額や頬が見えて清潔感が、ぐっと上がったようだ。
清々しい気分でお会計をしていて、ポイントカードを作ることになり、ダイレクトメールを送ってもいいかという話になり、渡された用紙に名前や電話番号や住所を書いた。私の住所を見て、美容師さんが聞いたことのない不気味な、あっ、という声を上げた。私もその時、察した。美容師さんの顔を見ることができず、何かから逃れるように俯くことしかできない。
違うんです、と言ったところで何が違うというのだろうか。私が田中明美じゃないことは、もうバレている。というか、元々違うから、違って当然だ。別に私が罪悪感に苛まれることはないと思う。思うのだけれど、美容師さんはそういうわけにはいかない。漂ってくるミスをしてしまったという思いは、しっかりと私にも伝染する。断れば良かったんだ。でも、私は気分が良かったし、また来たいという気持ちになったから、その厚意を無駄にしたくなかった。
私達の間に初対面特有の気まずい沈黙が生まれたのは、この時が最初だった。綺麗に左右に流れている髪は私が俯くと額に垂れ落ちてくるように、視界の端で宙ぶらりんとなっている。
悪いのは私達ではなく、田中明美だ。結婚したからと良い気になって、必要な手続きや報告をしなかった田中明美が悪い。私達は言ってしまえば、被害者だ。被害者が罪悪を覚える必要はない。
そう考えると気が楽になって、私はにっこりと笑って、良い美容院を知れたので大変良かったですと感想を告げると、美容師さんの曇った顔が明るくなった。頬の端まで綺麗に笑えてなくて、そっか、引っ越したの……と呟く。常連客を一人失った美容師さんの発言とは違った色合いを有していて、母親のそれに近かった。もっと遠慮なく言ってしまえば、長い間結婚している人の、奥さんのそれ。心配が、彼女の声には色濃く存在していた。
田中明美も夫も、あまり良くない人なのだろう。でも、それは何だか田中明美に似合っているように思えた。二人揃って、必要な手続きや報告をしないように思えた。忘れていた、と言えば全てが許されると思っているような楽天家夫婦が、私の脳裏に描かれる。
感情が行き過ぎたがゆえの偏見だったので、脳内のキャンバスを真っ白にして、美容院を出た。
微妙な気分だったし、お昼も過ぎていたので、近くのベーカリーで新作とおすすめの卵サンドイッチを買って、近くのカフェでコーヒーをテイクアウトした。卵サンドイッチにはぴりっとしたマスタードが塗ってあって、ほんのり苦味を覚える熱いコーヒーと相性が良かった。
※
――結婚後の生活はどうだ? 良い生活を送っていると思いたい。お前はマイペースで面倒臭がりだから、色々と迷惑をかけているんじゃないかと心配だ。二郎さんとは良くやっているか? 我儘や自分勝手なことばかり言っていないか? 二郎さんはお前が思っているより、ずっとしっかりしている人だから、お前達の生活が上手くいことを信じている。二郎さんに任せてばかりじゃ駄目だぞ。自分でできることは自分でしないと、後々が大変だから。母さんも父さんも元気でやっている。でも、時には帰ってきても良いんじゃないか?
見たことのない、崩れがちな小さな黒い文字が、葉書の裏面に連なっている。平仮名はどれも連綿と繋がっていて、昔の人のそれだ。表には、私の住所。宛名は、田中明美。送り主は、田中正造という人だった。本州から海を挟んだ南にある場所から届いた葉書。裏面の文面から、田中明美の父親なのだと容易に想像できる。
零れ落ちそうだった舌打ちをぐっと堪えると、深い息が落ちた。
何なんだ一体、田中明美という女は。
私が呆れや諦めに近しい怒りを、田中明美に懐いた。私は一体どうすれば良いのだろうか。どうすればいいのかと考えたところで、できることは一つしかない。エントランスを通ることなく、来た道を戻る。郵便局に足を運んで、間違って届いていたことを話すと、対応してくれた職員さんは、後はこちらでやっておきます、と恭しく答えてくれた。
こういうことは良くあることなのだろうかと気になって訊いてみると、時々あるらしい。送り主を間違えていること、誤っていることを伝えることはできるが、そこから先は本当に送りたかった人とのやり取りになるので、郵便局であろうと立ち入ることは難しいらしい。何度も続くのであれば、受取拒否も検討してください、と最終手段も教えてくれる。
私は田中明美と父親のことは全く知らないし、巻き込まれただけの人なので詳しく知りたくはないけれど、それは難しいだろうと思う。郵便が新居に転送される期間は一年。その間は、ちゃんと田中明美の新居に届けられていた。田中明美が筆まめかどうか分からないけど、書面での交流が続いたのだと信じたい。それが一年経って、終わった。もしかすれば、スマホなどのデジタルを用いた交流に変わったのかもしれないけど、だったら私のところには届かないだろう。好意的に解釈することが可能であれば、父親が不意に一筆執ったのかもしれない。文面から感じにくいので、その線は薄そうだった。
私は田中明美と会ったことがないのに、彼女の人生の一部分を覗き見ている感覚に陥る。インターネットで見かける自発的に見る芸能人や有名人の噂話とは全然性質の違う、遠いようで近しい、近しいようで遠い、血の通った人間が存在していることが分かっているゆえの、不気味さ。
引っ越したこと、結婚したこと、夫婦で暮らししていること。田中明美は新しい人生を歩んでいる。古い人生のことは忘れているのだろう。当人が忘れても、こうして面倒事に巻き込まれている人がいるのを自覚してほしい。可能であれば、田中明美に会いたい。会って一言、言いたい。でも会ってしまえば、馬鹿なんじゃないか、とかそういう口汚い言葉で罵ってしまいそうで、良くない。
田中明美が父親との関係を切ろうとしたように、会わない選択を採ったように、私も田中明美と会わないのが正解なんだと思う。私と田中明美は、別に職場の同僚でもなければ、学生時代の知り合いでもないし、地元が同じでもなければ、ましてや友達でもない。ただの他人で、私が今住んでいるマンションの住人だったという偶然だけが、私達を引き合わせた。
それだけだ。でもそれだけだからこそ、気になる。どうして田中明美は父親との関係を切ろうとしているのだろうか。娘と父親の関係のことを、家族の他の者は知っているのだろうか。
私は踏み込もうと思えば、踏み込める。権利があるようにすら思う。悪いのは、田中明美なのだから、事の責任は全て彼女にあると言い切ってすら良い。
間違って届けられた葉書を郵便局に持って行ったことなど忘れて、私が一筆執れば良い。間違って送っていることを、伝えればいい。この住所にもう田中明美が住んでいないことを伝えればいい。そうすれば、きっと、謝罪の言葉と共に、田中明美のことに関することを教えてくれることだろう。
でも、と一人の娘としての私がブレーキを踏む。私が悪くなくても、被害者であったとしても、人様の家庭事情に土足で踏み入れるのは、どうなのだろうか。全てを田中明美のせいにすることができても、残された倫理観が、私を普通な、善良な人間としての淵に立たせたままにしてくれる。
ここで私が筆を執ってしまえば、私は田中明美と同じ女になってしまうのではないだろうか。自分と関係のない人の暮らしに土足で踏み入る、かつて自分自身が田中明美に懐いたものと同じものを、私は私自身に懐くのではないだろうか。
私は面倒事に首を突っ込まず、事が田中明美とその家族の間でちゃんと綺麗に片付けてくれることを願うだけで良い。何もしないのが、きっと正解だ。もどかしいけれど。
※
クール便が届いたのは、お盆が終わる頃だった。職場の子が実家に帰省していたので、普段お世話になっているお礼として、特産品である明太子の詰め合わせを送ってくれることになっていたのだ。
だから、玄関で、宅配業者からクール便です、と言われても何も違和感を懐かなかった。やっと来た、という期待に胸を膨らませた。サインをして受け取ったダンボールは、想像していたよりもずっと大きい。宅配の担当者の方は、重たいので気を付けてください、と忠告してくれた。受け取ろうとしたけど、重くて両方の腕で抱えるのが難しかったので、玄関の脇まで運んでもらう。
明太子にしては、重過ぎる。何かの間違えで鮭を何尾も入れたのではないか、と明後日のことを考えてしまう。
ダンボールに貼られた送り状を見てみると、そこに、職場の子の名前が書かれていなかった。
届け先は、私の住所。名前は田中明美。送り主を確認してみると、かつての葉書とは違った住所が書かれている。それに宛名も、田中正造ではなく、聞いたことも見たこともない会社。でも、見覚えのある住所のように思えた。本州から海を超えた南の地で経営されているらしい精肉店なのだと分かるけれど、分かったところでそれが何なのか、と思わざるを得ない。多分、田中明美の実家、ご家族で経営している会社なのだろう。
送り状を参照してみると、中身はお肉。普段買っている五キロの白米よりずっと重かった。多分だけれど、十数キロのお肉が中に入っていると思う。会社からまとめて届いたということだ。それも個人経営の飲食店でもない、普通の一人暮らしの家に。
間違えであることは確実だ。確実だけれど、田中明美はこの量を受け取る気でいたと考えることができる。田中明美は、一人で食べきれないほどのお肉を受け取って、どうするつもりなのだろうか。私が思っているより、田中明美はそういうやりくりが上手なのかもしれない。良いな、そういうの。もしかすれば、ここで同棲していたのかもしれない。それでこの会社のお肉を気に入ってリピーターになったのだろう。まとめて買えば安いからとかそういう理由で。でも、あまりに多すぎる。無茶苦茶大きい冷凍庫でも持っているなら話は別だけれど……。
思考があまりのことに全然違う方向に働きそうになって、強引に動かす。今までとは違う間違いでいよいよ然るべきところに相談して、対策に出た方が良いのかもしれない。でも、私ができる対策はないように思う。とりあえず宅配業者に連絡を入れた。連絡が遅くなって、解凍しはじめたら最悪だ。
誤配送であることを伝えると事はとんとん拍子に進んだ。戻ってきた業者の方に、住所は合っているけれど、私とこの会社と何の接点もないことを伝える。申しわけありません、と謝られたけど、この人はこの人の仕事をしているだけなので何も悪くない。この荷物がどうなるのか気になったので尋ねると、荷物は依頼主の元に戻る、とのこと。それからのことは宅配業者で関与できる部分ではないらしい。
宅配業者も郵便局も、そして美容師さんも、できることは多くない。多分これは、親と子の問題であり、家庭の問題だ。田中明美という娘と父親をはじめとした実家の問題。私にできることは、ない。何もできないのが正解なのだ。
田中明美が一人っ子なのかどうかとかそういうことは分からない。分からないけれど、会社を継ぐとかそういう話をされなかったことはないだろう。田中明美はそういうことに嫌気が差したのだ。田舎で実家の会社を継いで生活を続けるという生活を選びたくなかった。だから、引っ越して、結婚を機に、自由になった。巻き込まれた私からしてみたら、良くない印象になってしまうけれど、総括すると悪くないように思う。自由気ままで、結婚後の生活を楽しんでいるのだろう。
全然知らない家庭のことを考えていると、自分の親のことが気になった。なんだかんだ帰っているし、家の更新が近づくと今後のことを話したりしている。
私の親は、そんなことしないと思うけれど、少し気になってしまう。スマホで親に連絡をする。呼び出し音が数回続いて、聞き慣れた高い声が木霊する。
「もしもし、どうしたん?」
「特に用はないけど、元気かなって」
「そりゃもう元気も元気よ。便りがないのが良い便りってやつよ」〈了〉
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